RoppongiExpress

Roppongi Express 2.0 - いつかは世界チャンピオンに

 鳥海山2ndステージ 26kmヒルクライム・ロードレース

【起床〜出発】

5時前起床。前夜やることがなくて22時30分頃には寝られたので、十分眠れた。やや緊張していたが。
起床してお風呂場においてあるヘルスメーターに乗ったら60.1kgくらい。
『錦旅館』の方にご好意で作っていただいたおにぎり二つ、前日買ったアンパンを一つ、ゆっくりとストレッチしながら食べる。
順調にトイレも済まし、着替えて6:30にはアップに出発。


【ウォーミングアップ】

このレースは今までのどのレースよりもアップをきっちりとしたと思う。前日のTTで失敗をしたから。
皆ほんの数秒差でタイムトライアルに負けたら、「もう一回やればあとX秒は縮められるのに・・・」などと思うだろう。そういう意味で私も非常に悔いが残った。

全力を出し切れなかったから。
スタート直後に足がいっぱいになっていた。だから自分の限界の速度域より下の速度域しか出せなかった。ではそれが自分の限界の速度域ではないか、と思われても仕方ないが、一度限界近くまで追い込んだ後であればもっとイケル。とダウンをしながら思った。

けどもう一度同じレースはできない。

できる事は、2ndステージのヒルクライムで同じ間違いをしないこと。


8:20スタート、8:00召集、7:50にはアップ終了、と逆算していき、6:40頃からウォーミングアップに出発。


下山荷物預かりが6:30からなのでそれを預けてからアップへ行こうと思っていたが、T倍さんが『荷物を預けておいてあげるから、集中して悔いのないレースにしておいで』というような事を言って見送ってくれた。

おかげで約75分集中してウォーミングアップできた。


↑ アップに行く前


ウォーミングアップ:10分、308.0W、162.1拍、87.1回転


コースへ行き、昨日間違えて上れなかった道を淡々と上っていく。
30分ほど上ってから折り返して10分走を開始。
3分シッティング、2分ダンシング、もう一度シッティングで3分、最後にダンシングでギアをかけて2分、でおしまい。
心拍は176まで。けっこう追い込んだ。レースが始まってもう一度同程度のスピードで進むならもっと楽に走れるはず。
その後はまたコース沿いをゆっくり上って行く。時間を見計らって下って行きスタート地点へ。


【レース】

1時間01分39秒(優勝)、305.5W、167.3拍、77.9回転



27名の少人数レース。けどヒルクライムだから人数はあまり関係ないか。
スタート直後の平坦は中盤で過ごし、ほどなくして上りへ。皆お互いの顔色を伺いながら力をセーブしている模様。
ちょっとしたペースアップがあったのは、一般道から細い農道(のような道)へ入るところ。細くなり勾配が急なところでアダム選手がペースアップ。人数が絞られるほどではない。私はいつもどおり先頭の方にいて、皆がペースアップする流れについていく感じ。一番ペースの変動を少ない省エネ走法。

農道は5-8%程度の坂と1-3%程度の緩斜面が繰り返される感じ。スピードが緩んだところでは前方に出て、スピードが上がったポジションを下げながらついていく。そんなにきつくはないので、万が一後方で中切れが発生しても一踏みで追いつける余裕を持って。



一般道に出ると一旦下る。ここらへんから#9さいとう選手の積極性が目立つ。
ハーフ通過タイムは昨年と同程度らしい。ゴールタイムは今年の方が2分くらい速いようなので、後半の速さが違ったか。
まぁロードレースでタイムを比べるのはナンセンスだけど。



後半の山道も前半と同じく5~8%程度の上りと1~3%程度の緩い上りが繰り返される感じ。



ところで今回のレースでの要チェック選手は村山選手、アダム選手、よっしー選手。あと否が応でも目立つゼッケン1(昨年の優勝者)伊藤選手。本柳選手はTTがかなり遅かったので脅威ではないかな、なんて思っていた。



軽いアタックが幾度かあるが決定打には至らずに人数も10名ほどのまま進み残り5kmくらいで本柳選手がアタック。アタックのスピードよりも、本人の『このまま一人でも逃げてやる』っていうやる気が違った。迷いがないというか狙っていたような感じ。

私はとりあえず一瞬様子を見る。10秒も差は空いていないと思うが明らかに様子見ではない逃げ切り狙いのアタックなのでそろそろ勝負だと思った。

そしたら村山さんが補給所のあたりでペースアップ。ついていけたのはよっしー選手のみ。誰も反応できないのを確認して私も追走。勾配が緩いのでギアはアウターにかかっている。それまでのように一踏みですぐ追いつく感じではなかったが、前の二人もきつそうなのでほどなく追いつく。そのまま3人で先行する本柳選手を捕まえなければいけないが、皆けっこうきつそう。村山さんのペースが上がらないのが意外だった。

そういえば前半から村山選手を観察していたら呼吸がかなり苦しそうだった。同じレースで同じポジションを走るのは恐らく初めてだからいつもの村山選手なのかどうか分からないが。

つかまりそうで前に届かない。それだけ皆きつそう。皆がきつい時が勝負どころ、と思い本柳さんを捕まえるべくペースを上げるとよっしー選手が少し離れている。ますます勝負どころと思い必死でキープする。村山選手も相当きつそう。

残り2kmを切ってからようやく本柳選手を捕らえる。少ししかない差を詰めるのにかなりの距離を費やした。もう皆限界そうだった。
追いついた瞬間になんと本柳選手が再度アタック。度肝を抜かれた。ビックリするとともにこの選手はスゴイと思った。もう我慢大会。根性勝負。どのくらいの体力が残っているかは分からないが、気持ちで負けたらオシマイ。とにかく全力で食らいつく。アウターにかかったままダンシングをし続けている時、なぜか腕の力・上半身を意識した。

どうやら村山選手は耐え切れなかったよう。なんとか私はきつい箇所を離れずにクリア。本柳選手に前日のタイムを確認する。私とは40秒ほど差があり、残り距離は1kmちょい。これなら最悪全力で連れて行ってゴールで負けても二日間総合の『矢島カップ』では負けない。きつい上りをクリアした後、ためらうことなく全力で平坦部分を踏み続けて残り1km。

・・・なんとここで本柳選手が脱落している。という事は前は私一人で後ろは二人。しかも下り−平地なら村山選手が速そうだ。この時点でかなり弱気になった。勝たないと意味がない。逃げてゴール直前で抜かれて2位になるくらいならゴール前まで身を潜めてゴールスプリントで勝った方が100倍イイ。

けどこの日は集中力があった。平地からけっこうきつい上りに入って数百mでゴール。最後まで後ろを振り返らずに、村山選手に3秒以上の差をつけることだけに集中して踏み続けた。気のせいか、平地から上りに入ったところですぐ後ろまで迫られて息の音が聞こえたような気もしたし、そのまま追いつかれるんじゃないかという恐怖に襲われたが、それでも後ろを見ずにゴールまで踏み続けた。最後のコーナーを抜けてゴールが数十m先に見えて、後ろを振り返った時に初めて勝ったと思った。上りなので控えめに片手上げでゴール。


【使用機材】

フレーム: アマンダ80tカーボン、クロモリラグ、クロモリチェーンステー&ヘッドチューブ (1625g)
フォーク: アマンダ80tカーボン(410g)
ヘッドパーツ: KING
変速・ブレーキ: SRAM RED
クランク: SRM・FSA、172.5mm、50x34
ホイール: Lightweight G3 (F16/R20)
タイヤ: Veloflex Carbon
ギア: 11-23 (RED)
サドル: Bontrager Inform RL (128mm)
ハンドル: Oval R950 420mm
ステム: 3T 110m 73°
ペダル: Time
シューズ: パールイズミ・Octane SL
ヘルメット: OGK モストロ

↑ 山頂にて


自転車の総重量は約7.5kg。



ボトルの中身は水1本とエネルギー系1本。
エネルギーの方は、ウィダーinゼリーとパワージェル二つ、BCAA一袋、残りは水。とにかくエネルギーになるのをたくさん入れて、仕上げに塩タブレットを10粒くらい入れて発汗による足攣りを予防。

今回はゴールまで足を攣らなかった数少ないレースだった。
2本を満タンにして、更にペットボトルを背中に入れてアップへいき、アップをしながらもエネルギー補給をしながら背中の水を飲む。スタートラインについた時は水満タンとエネルギーの方は半分くらい入っていた。上位陣でボトル二本持ってスタートって珍しいんじゃないかな?



ゼッケン13。欧州プロっぽく片方のゼッケンを逆さにつけようとしたけど、やめといた。




↑ 2ndステージの表彰。



↑ 2日間総合『矢島カップ』の表彰。

【レース後感】

ようやくヒルクライムで勝てた。
参加人数が少なく、この大会に参加していない大御所を数えたら両手くらい必要だろうし、もちろんこれでヒルクライムのトップレベルのに仲間入りしたとは全然思っていないけど、とにかく勝ててよかった。

今月号の雑誌の美ヶ原の記事に、『ヒルクライムオールスター』なんて書かれて藤田さん、奥村さん、56、コンドル、鵜沢君、と一緒になぜか私も写真に納まっていたけど、なんとか後付でかっこうはついた。


ウェア供給していただいている2XUさんにはツールドおきなわ優勝以降は何もいい知らせができていなかった。その間にもゴローさんはいくつかのレースで優勝して存在感を示していたので、何かプレッシャーを勝手に感じてしまっていた。


春先からレースに出るたびに、ゴールの時間を見計らってゴローさんから『どうだった?』と連絡があり、いつもダメでしたって言うのも忍びなかった。それでもゴローさんは私を信頼してくれていて、いつも『大丈夫』とか『焦るな』といった言葉をかけてくれた。それだけに一層、ほんとにこのまま一年間いいとこなかったら裏切る事になるなぁ、とか思っていた。


イナーメ・アイランド・信濃山形のチーム監督の中畑清さんは、色々と時間を割いてレースサポート等をしてくれるけど、全く選手にプレッシャーを感じさせないようにしてくれる。どのレースに出てどういう成績を出そうが出せまいが一向に気にしない。それだけにそのサポートに応えられるように、どこかでいい結果を出したいと思っていた。


これもゴローさんのコネで、チームカラーに合わせたヘルメットと、今回はTT用にモストロTTも使わせてもらったOGKさんに対しても、ゴローさんのオマケ、ではなくて一人の選手としてアピールしたかった。


千葉さんに作ってもらったアマンダでずっといい結果が出なかったら、そのフレームをそんなに好きになれなかっただろう。なんせ1600g以上あるんだから、、、

それでフレームを乗り換えたら私が勝てないのをフレームのせいにしているように思われるかもしれないし、やっぱり重いフレームじゃ上りは勝てない、、なんて間違って思われてしまったかもしれない。


妻に対しても、今シーズンはレースから帰ってくるたびに『どうだった?』と聞かれてもいい返事ができなかった。色々迷惑かけている事も多いので、それに感謝すると共に、ようやく練習の成果が実ってよかった。妻が喜んでいるかは分からぬが、、、


何はともあれ、ほんとに勝ててホッとした。本当にものすごく勝ちたかったから、もし優勝できたら泣いてしまうかもしれないなぁ、なんて前日に思っていたけど、結局全然泣かなかった。



そういえば、オマケとして、ヒルクライム・シリーズ戦でポールポジションについた事もレース後に気付いた。
美ヶ原が雨で流れたことは私には良かったのだと思う。あの時の実力とあの天気では、とても上位に入れなかったと思う。
まぁマウイ行きなんてほんとにおまけくらいに思って、とにかく乗鞍では全力を出す・ベストを尽くすことだけに集中しよう。
正直勝てるとは思っていない。



友達から今回の勝因は何だった?と聞かれて『集中力と運』と応えた。そんなもんだ。