RoppongiExpress

Roppongi Express 2.0 - いつかは世界チャンピオンに

寛仁親王記念ワールドグランプリ 団体追抜き

団体追抜き(Team Pursuit):4人一チームでトラックを4km走る。先頭交代しながら空気抵抗を分散して個人では出し得ないハイスピードを維持して走り、3番手のタイムで順位を決めるチーム競技。

ちなみにイナーメ信濃山形はアマチュア選手で構成されるクラブチームだが実業団の大会での最高記録を持っている。
アマチュアチームでハイレベルの選手4人を良い状態で揃えるのは難しい。
イナーメでも三人は相当ハイレベルな選手がいるけど、正直その3人と同等に走れる4人目は居ない。
居なかった。
そこで私は昨年本格的なトラックレーサーを買って練習をそれなりにすれば3人の足を引っ張らないくらいには走れるのではないか、と考えた。
そうすれば更なる記録更新も夢ではない、と思い夏以降全てのインドア練習を固定ギアのピストで3本ローラーに切り替えた。

ではどこで記録を狙うかというと、2月上旬の修善寺トラックでの大会。これしかない。
年末にPaulが2016年2月にオーストラリアへ帰国すると聞いたので、それまでにやらねば。


ということで今日のために準備を整えてきた。機材面ではMAVICの前後ディスクホイールを導入。
トラック用のSRMもつけたし。

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チームメートはアマチュアとしては相当ハイレベルな3人と私。
Paul Salisbury: タイムトライアルのスペシャリスト。人間として彼のどこが凄いかを語ると紙面が足りないので割愛。とにかく万能。なんでも出来る。そして独走力高い。JPTのタイムトライアルの大会でも5位か6位に入るくらい。
皿屋豊:昔はヒルクライムレースで優勝したこともあるらしいが、スプリンター転向後にJPT宇都宮で世界のトッププロにタイヤ差で負けて2位になったのが2014年。
その後着々と実力を伸ばし昨年は国体の1kmで優勝、そして競輪学校に合格して脱公務員してプロ競輪選手になる33歳。
中村龍太郎:言わずと知れた、サラリーマンとしてプロを破ってロードタイムトライアルの全日本チャンピオンになった超人。現全日本チャンピオン。当たり前だけど、強い。


こんな3人とチームメートとして走れるとは幸せではあるけど、プレッシャーとか不安がハンパない。
しかもトラックは2020年にオリンピックでも使用される室内板張りの250mバンク。
私が現役時代に走っていた屋外400mバンクとはまるでスピード感が違う。
先日初めて走った時はその感覚に慣れるので精一杯で、まっすぐ走る事とスタート後にコーナー曲がりながら加速できるかが不安で不安でしょうがない。

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冗談でしょ?って角度のコーナー。ほとんど壁に見える。


そして当日。そろそろバンクに着くかなという頃にチームメートから連絡。
タイムテーブル変更で団抜きが日曜になったと。
そうなると団抜き以外エントリーしていなく、日曜は来られない私は走ることなく帰ることになるではないか。

けど、、、実はこの連絡聞いた時に意外とガッカリとか抗議とかそういう気持ちはなく、ああしょうがない、準備不足でもあったしこれも運命だな。なんて思っていた。
とりあえずトラックに顔出して後輩用に荷物だけ預けて帰ろうと。

そしてトラックに到着したらイナーメの中畑監督が交渉してくれて、今日の最終種目として団抜きをねじ込んでくれた。
これでチームとして団抜きを走れる。
一度もう役目がなくなったと肩の荷が下りた気分でいただけに、複雑な心境。だけどこれはチーム競技なので皆が走る以上ベストを尽くさねばならない。
気持ちを入れ替える。



午後からバンクに入ってチームメート練習。前輪をディスクホイールにしたせいか二度目のバンクで前回よりも慣れているせいか、前回よりもイイ感じで走れる。
ぶっつけ本番は失礼と思い1月に一度バンクを練習で走っておいたが、これやっておいて本当に良かった。
250mバンクを普通に走る難しさや先頭交代のタイミングなど、当日入りのぶっつけ本番では絶対にムリ。
前回恐る恐るの走りで全く自信なくしていたほどだったけど、その経験があったので今日は割と普通に走れた。
4人で2kmをレーススピード近くで走ったり、先頭交代の練習したりするうちに、なんとか走れるんじゃないかくらいには思えてきた。


ところで土曜のみ参加の私は団抜き一本だが、チームメートは様々な種目にエントリー。
皿やんはスプリントで決勝まで行き1勝1敗で3本目までもつれたので団抜き15分前にスプリント優勝をかけて走っていた。
ポールと龍太郎はオムニアムにエントリーしていたため、スクラッチ、4km個人追抜き、エリミネーション、を走ってからの団抜き。
そこでの走りでなんとなく今日のコンディションは分かってしまっていて、ポールと龍太郎は100%にはほど遠い。
まぁ私との実力差を考えるとそれくらいでちょうどまとまりが取れていいかな、と私は悲観的ではない。

アップとして固定ローラーで20分ほどじっくりと上げていく。少しきついなくらいの巡航で270Wくらいまでゆっくり上げて汗をかいておく。
前の競技が終わってからの合間の時間に軽くバンクを周りながらコーナーをダンシングしながら加速する練習もして、あとは4.5分集中してやるのみ。
スタートは17:00。


スタートは大の苦手なので一走の龍太郎にマイルドスタートをお願いする。
ポールと一緒に走る最初で最後の団抜き。気合いを入れてスタート。一番心配していたスタートは無事にこなせた。
リクエスト通りに入りは抑えていく。基本1周交代で16秒後半を目安にして後半に16秒前半に上げていけたら、という事前打ち合わせ。
途中までは良かった。16.4秒くらいのラップもあったかな。私もなんとか1周交代の責務は果たしてちゃんと集団にもついて走れた。
中盤からラップタイムが17秒台に落ちていく。誰のペースが、ということはなく、全体的になんとなく苦しくなっていく感じ。
後半には17秒後半くらいのラップタイムもあり、終盤に龍太郎が気合いの2周牽きでラップを16秒前半に持って行く。
このペースアップでかなりキツくなっていたところでラスト1周のジャンが鳴ってから私の前走者の皿やんが最後のペースアップ。
これに私は対応できず、1−2車身空いてしまったままゴールまで。

TP
(JCFのホームページから)
先頭からPaul、皿屋、高岡、龍太郎。


タイムは4分38秒8。残念ながらチームのベストタイムからは10秒落ち。
だけど、ラスト1周までは4人でまとまって走れたし落車も途中でばらけることもなかったので、良しとしよう。
もし3人のコンディションがピークで新記録狙う勢いであったなら、確実に私は脱落していたことだし。

データ:4分38秒、341W、110回転、169/176拍

ギアは53x14T。龍太郎とPaulは今日のコンディションだと踏み切れない、という判断で直前に52x14Tに変更していた。
ほぼ全力で、自分の力では到底出せない速度域で仲間の力を借りて4.5分間走り抜いた。
ゴール後数分間は呼吸が整わず足も回せないほどに追い込み切った。
こういうのを毎週のようにやっていたら強くなるんだろうな。
毎週ありとあらゆるレースに出まくっている龍太郎は強くなるベストの方法をうまく見つけたもんだ。


優勝ということでチームで表彰台に上り賞状をいただく。
参加1チームのみでなかったら、もしかしたら追い抜き負けされて記録すら出せなかった可能性あるので、色々あったけど本当に良かった。


土曜だから帰りも渋滞なく1時間45分ほどで帰宅。
帰ったら妻のロンドン時代の友達たちが大勢遊びに来ていたのでそこに混じって酒飲みながら夕飯。
年末からこの大会を目標に練習してきたのでちょっとした開放感もあり飲んだ。
23時頃過ぎまで飲んでいて寝たのが0時。